むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おじいさんが家を出てまもなく、雪が降ってきました。
雪はだんだん激しくなったので、おじいさんはせっせと道を急ぎました。
山をのぼっていると、お地蔵さまが立っていました。
お地蔵さまの頭にも肩にも、雪が積もっていました。
これを見たおじいさんは、そのまま通り過ぎる事が出来ませんでした。
「お地蔵さま。雪が降って寒かろうな。せめて、このかさをかぶってくだされ」
おじいさんはお地蔵さまに、自分のかさをかぶせてやりました。
おばあさんは川につくと、子どもたちが大きなカメをつかまえていました。
そばによって見てみると、子どもたちがみんなでカメをいじめています。
「おやおや、かわいそうに、はなしておやり」
「いやだよ。やっと、つかまえたんだもの」
見ると、カメは涙をハラハラとこぼしながら、あばあさんを見つめています。
「それじゃ、お金をあげるから、おばあさんにカメを売っておくれよ」
「うん、いいよ」
おばあさんは、子どもたちからカメを受け取ると、
「もう、つかまるんじゃないよ」
そっと、川の中へ逃がしてやりました。
その夜、雪は、コンコンとつもって大雪になりました。
おじいさんは、おばあさんにお地蔵さまのことを話して
おばあさんは、おじいさんにカメを助けた話をしてあげました。
表の戸を、トントン、トントンと、たたく音がします。
「ごめんください。あけてくださいまし」
若い女の人の声です。
おばあさんが戸をあけると、頭から雪をかぶった娘が立っていました。
おばあさんはおどろいて、
「おお、おお、寒かったでしょう。さあ、早くおはいり」
と、娘を家に入れました。
「わたしは、このあたりに人をたずねてきましたが、どこをさがしても見あたらず
雪はふるし、日はくれるし、やっとのことで、ここまでまいりました。
どうか一晩、泊めてくださいまし」
娘は、ていねいに手をついて頼みました。
「それはそれはお困りじゃろう。こんなところでよかったら、どうぞ、お泊まりなさい」
おじいさんがいいました。
娘は喜んで、その晩は食事の手伝いなどして、働いてやすみました。
あくる朝、おばあさんが目をさますと、娘はもう起きて、はたらいていました。
いろりには火が燃え、なべからは湯気があがっています。
「まあまあ、おそうじまでしてくれたのかね」
おばあさんもおじいさんも、おどろきました。
つぎの日も、そのつぎの日も大雪で、戸をあけることもできません。
娘は、おじいさんの肩をもんでくれました。
「なんてよく働く娘さんじゃ。なんてよく気のつくやさしい娘さんじゃ。
こんな娘がうちにいてくれたら、どんなにうれしいじゃろう」
おじいさんとおばあさんは、顔を見あわせました。
すると、娘が頼みました。
「身よりのない娘です。どうぞ、この家においてくださいませ」
おじいさんとおばあさんは喜んで
それから三人、まずしいけれど、楽しい毎日をすごしました。
めでたし、めでたし。
おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おじいさんが家を出てまもなく、雪が降ってきました。
雪はだんだん激しくなったので、おじいさんはせっせと道を急ぎました。
山をのぼっていると、お地蔵さまが立っていました。
お地蔵さまの頭にも肩にも、雪が積もっていました。
これを見たおじいさんは、そのまま通り過ぎる事が出来ませんでした。
「お地蔵さま。雪が降って寒かろうな。せめて、このかさをかぶってくだされ」
おじいさんはお地蔵さまに、自分のかさをかぶせてやりました。
おばあさんは川につくと、子どもたちが大きなカメをつかまえていました。
そばによって見てみると、子どもたちがみんなでカメをいじめています。
「おやおや、かわいそうに、はなしておやり」
「いやだよ。やっと、つかまえたんだもの」
見ると、カメは涙をハラハラとこぼしながら、あばあさんを見つめています。
「それじゃ、お金をあげるから、おばあさんにカメを売っておくれよ」
「うん、いいよ」
おばあさんは、子どもたちからカメを受け取ると、
「もう、つかまるんじゃないよ」
そっと、川の中へ逃がしてやりました。
その夜、雪は、コンコンとつもって大雪になりました。
おじいさんは、おばあさんにお地蔵さまのことを話して
おばあさんは、おじいさんにカメを助けた話をしてあげました。
表の戸を、トントン、トントンと、たたく音がします。
「ごめんください。あけてくださいまし」
若い女の人の声です。
おばあさんが戸をあけると、頭から雪をかぶった娘が立っていました。
おばあさんはおどろいて、
「おお、おお、寒かったでしょう。さあ、早くおはいり」
と、娘を家に入れました。
「わたしは、このあたりに人をたずねてきましたが、どこをさがしても見あたらず
雪はふるし、日はくれるし、やっとのことで、ここまでまいりました。
どうか一晩、泊めてくださいまし」
娘は、ていねいに手をついて頼みました。
「それはそれはお困りじゃろう。こんなところでよかったら、どうぞ、お泊まりなさい」
おじいさんがいいました。
娘は喜んで、その晩は食事の手伝いなどして、働いてやすみました。
あくる朝、おばあさんが目をさますと、娘はもう起きて、はたらいていました。
いろりには火が燃え、なべからは湯気があがっています。
「まあまあ、おそうじまでしてくれたのかね」
おばあさんもおじいさんも、おどろきました。
つぎの日も、そのつぎの日も大雪で、戸をあけることもできません。
娘は、おじいさんの肩をもんでくれました。
「なんてよく働く娘さんじゃ。なんてよく気のつくやさしい娘さんじゃ。
こんな娘がうちにいてくれたら、どんなにうれしいじゃろう」
おじいさんとおばあさんは、顔を見あわせました。
すると、娘が頼みました。
「身よりのない娘です。どうぞ、この家においてくださいませ」
おじいさんとおばあさんは喜んで
それから三人、まずしいけれど、楽しい毎日をすごしました。
めでたし、めでたし。